新しい部屋と段ボールとぼく

引っ越してきて、しばらくたった。

新しいお家は、知らないところばかりで
見たこともない家具が増えて
知らない匂いばかり。
どこに居ていいのかわからないし
なんだか悲しくなった。
そして押し入れに籠城した。

ママもパパも困って、なんどもぼくをそこから出したけど
ぼくはなんども押し入れに戻った。

日中二人は仕事に出かけていなかったけど
それでもぼくは、探検する気にもなれず
ひたすら押し入れで小さくなっていた。

「ようやくだいぶ片付いたから
 そろそろ自分の居場所を決めなよ」
ってママはぼくを引きずり出す。
その手には包帯が巻かれていた。

あれ。ママ、どうしたの?

「ちょっと片づけを頑張りすぎて
 でも仕事もあるし、はちゃめちゃしていたら
 湿疹がでちゃった。
 あたしがこれじゃ、あんたも疲れたでしょ。
 ちょっと落ち着いて眺められる場所、用意したから
 来てよ」

ママはぼくを抱えてリビングに向かう。

よいしょ、と下ろされた場所は
段ボールだった。

小さな四角はぼくを囲い、ちょっと落ち着く空間だった。
ようやくぼくは新しいリビングを見渡せた。

今までと同じソファとクッション、
今までと同じお茶会用のテーブルと椅子。
その先に窓があった。

ぼくはゆっくり、その窓に向かう。
窓の前には石垣があり、何も通らない。

ここ、かも。
って空を見上げた。


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