つい先日までは、もっと小っちゃかったような。
ひそひそ
あいつ、毛だらけで
ひそひそ
きっと泳げないんだぜ
ひそひそ
なにー!
お前ら、がぶりってするぞ!
ひそひそ
お水、怖いくせに
ひそひそ
なにー!
ちょっとくらいなら
手、入れられるんだぞ!
「これこれ。止めなさい」
ママがぼくを水槽から引きはがす。
だって!あいつらついこの前まで小っちゃかったくせに!
彼らがうちに来た頃
「あんただってそうだったでしょ??」
ママは噴出した。
ママの肩に乗れてた頃
そうだけど。
「仲良くやってよ。
きんぎょずは、よしよしって撫でてあげられないから
きっと、なーちゃんがうらやましいんだよ」
ママが水槽に手を入れて、水をぐるぐる回す。
きんぎょずは、きゃっきゃ言って
その流れに逆らうように元気に泳いだ。
ぼくも、それ、羨ましいんですけど。