「どう?
なーちゃん、元気?」
まぁまぁ。
ぼくの頭が剥げてから
パパとママはちょっと優しい気がする。
いつもはご飯を食べてても
テレビに夢中で
CMの合間に話しかけるくらいだったのに。
「頭のてっぺんじゃ、自分で舐められないからね。
お薬お薬」
パパはママの真似をして
化膿止めの薬をぼくの頭に塗ってくれる。
ぼくは大人しく塗られている。
なんか、嬉しい。
「もう傷口はふさがったね。
なーちゃん、強い子~ ♪ 」
パパは嬉しそうに僕の頭を撫でた。
いつもはグイグイ押し付けるように撫でるのに
今日はそっと、よしよし、ってする。
怪我するのも、悪くないね。
「どれどれ、あたしもあたしも」
ママも手を伸ばし、ぼくの顎を撫でる。
気持ちがいい。
2人は、早く治りますように~、って
おまじないをかける。
でもぼくは、毎日これなら
早く治らなくてもいいなぁ、って思った。