宝の山がやって来た!と
ママはウキウキ帰ってきた。
宝の山?
すっごいよ~
おどろくよ~
と言って鞄から取り出したのはシイタケだった。
おぉ~
肉厚~
とパパもキャピキャピしている。
パパは良い食材を見ると喜ぶんだよね。
「これがコンビニで売っていたなんて驚きだよ。
スーパーもビックリしてるんじゃないかな。
穴場とは口コミで広がるものだね」
うむうむ、こんどこのコンビに行こう、とママは頷いている。
さらにだ、とまた鞄から何かを取り出した。
あ!ママの大好きな焼き菓子!
パパもママも喜んで、ほんとに宝の山だね。
「相手が喜ぶものを知っている人って、すごいなぁって思う。
気遣いって才能の一つだよね。
色々頑張ってたご褒美だよ、って。
しばらく会っていなかったけど、緑アップの経過も知っててくれて」
ってほほ笑んでいたと思ったら、クスンと肩も落とした。
「でもこの人は、もっと自分の人生を生きて良いと思うんだ。
散々色んな人の手伝いをしてきた人だからさ。
もう応援されて、手伝われる方になって欲しい」
私は彼女を応援したい、と目を閉じる。
そうなの?
うん、と頷くとママはシイタケを抱きしめた。
これからなんだ、がんばれ、と念じている。
宝の山とは、実は人なんじゃないかと、
ぼくは、ふと、思った。