せっせせっせとママが片づけを始めて10日以上経つけど
どんどん物が外に運び出されていくけど
リビングはあまり変わらない。
「先ずは自分の物からだから。
それにしてもずいぶん余計な物もってたんだなぁって
我ながら驚いちゃう。
服とか写真とか。
もう思い出は心の中に、だ」
そう言って、ばぁちゃんの物もずいぶん片づけてた。
こればっかりは自分でやって行かないと、って。
「売れるものはブックオフに持って行ったんだよ。
何往復もしちゃった。
恥ずかしがっていては進まないからね。
お陰で1万円以上の買い取りになっている」
ははは、とママは寂しそうに笑った。
「ブックオフの近くに本屋さんがあってね。
査定までフラフラしてたら
人間は50歳までで設計されているって書いてある本があって。
そこから先は自分次第で長くなるって。
ってことは、後5年でいったん終わるのかなって思ってさ。
全部片づけて、50歳過ぎたら、またそこから生きる、みたいな」
そうなの?
ぼくとママの流れる時間は違うみたいだから
ぼくには50年という時間はわからない。
ママが50歳になる時、ぼくは一緒にいるんだろうか。
「そう有って欲しいけど」
と言うと、ママはぼくをぎゅっと抱きしめた。