「ようやく全体像がはっきりした」
うしし、とママが笑っている。
全体像?
ぼくは布団の上でくつろいでいるところだった。
何だか暑いしね。
こたつはいいや、とか言って。
「こたつに潜られると話しずらいのよ。
布団の上に居てくれる方がいいわ。
やっと予算案ができて、スケジュール案ができて
どのタイミングで占用許可をもらって
何がハード予算で何がソフト予算かが見えて来たのよ、緑アップ」
あぁ。今日会議だったんだっけ、と聞くとママは頷く。
「あとは設計図ができれば、みんなに説明するときに具体的になる。
これが無いと集金のお願いができないからね。
予算が付いたとしても領収書清算だから運転資金はある程度用意しなきゃいけないのよ。
河岸はそれがないからね。さぁどうやって捻出するかが問題なんだけど
絵が無きゃ協力を仰げない」
はぁ、やっとここまで来た、あたしはしばしお休みだ、と布団に倒れこんだ。
そう言えば「街路樹にローズマリーって奇異なのかしら」とか言って
何かを調べて「神戸でやってる」と言ってプリントアウトして
土木事務所に持って行ったり、「地被類と低木は良くても弦物はだめか」って
ブツブツ言って「管理する土木事務所が管理しやすくすれば可かなぁ」と
地植え案をプランター案に変更か、と肩を落としたり、そんな2週間だった。
ぼくはね、会議に参加していなくてもちゃんと知ってるんだよね。
議事録は日毎に増えていく。
そこにぼくは登場しないのかな。