早いもんだね。
年末だと騒いでいたのに
もう1ヶ月も経っちゃった。
1月って、ぼくは色々思い出すものがあるんだけど
ママは思い出す暇もない。
小説教室だとか婦人部の集まりだとか公報をポストに入れてこなきゃとか
班長の引継ぎのサインをとか資源ごみの回収だとか
テナント更新だとか確定申告だとかマイナンバーの更新だとか
1つ1つは小さなことらしいんだけど
渋滞がおきてる、とママは眉間に皺を寄せる。
「ほんと毎年思うけど
1月末って母の命日なのにゆっくり語り合うこともできないわね。
あいつ、わざとあたしにそうさせてるんだな」
って肩をすくめた。
ばぁちゃんならそうするかもねってぼくも思うよ。
8年前の1月末は今のママより時間がなかった。
そのまま毎年ぼんやりする暇のない1月末を過ごしてる。
泣くことに時間を割かないでってばぁちゃんが言ってる気がした。
この布団にばぁちゃんは寝てた。
ぼくもママも毎日、今でも、一緒だ。
どう?
ばぁちゃん、笑ってる?