三日半ぶりにママを見た。
「じゃっじゃーん!
帰ってきました!」
と颯爽と玄関を開けたママは
小さいけど重そうなスーツケースを引きづって入ってくる。
運ぶ人が、ギョッとするほど
見た目と重さのギャップがあるスーツケース。
お帰り。
黙っていくなんて、ひどいじゃないか。
ぼくは、ブスっと出迎える。
「だって、言ったら怒るでしょ?」
ママはしれっとして荷物をスーツケースから出した。
「じゃじゃん!
辣油タワーだ!」
・・・。なにそれ。
「これを買ってくる、って言ったら
パパちんが気持ちよく送り出してくれて。
お小遣いはなかったけど。
パパちんの会社用にふたつと、」
ママはせっせと仕分けを始めた。
ほとんどが、なかなか会えない友達たちに送る物らしい。
それじゃ、送料の方が高くついちゃうんじゃないの?
ママの計算機は壊れているのかな、とぼくは心配になった。
「そういうとこケチケチしないのよ。
会う時間を作る方がもっと高いんだから。
あたし、辛いの食べられないのに
これ送られたらみんなびっくりするね」
ひひひ、とママは悪戯に笑う。
北海道まで飛んでいけ、と言いながら
メンバーになっているクロネコに登録をしている。
ねぇ、ぼくには?
ママの身体がドキリと止まる。
「な、なーちゃんにはママがおみやげですぅ~」
引きつった笑顔をぼくに向けた。
まぁ、そうかもしれないね、と言ってぼくは
ママの太ももに頬を寄せた。