「もう終わりが見えて来たんだよ」と
帰って来るなりママは写真を見せた。
前回ぼくが勝手に見てたのを知ってるみたいだ。
バレていたとは。
「スッカリ綺麗になっかってるの。
不思議だよね」
ほれ、とスマホをぼくに近づける。
「床は凹凸無しのフラットなんだけど、
ガラとしてはタイルなの。
掃除しやすいかなー、と思って。
水場なのでブルーにしてみました」
「壁紙と巾木との相性もまぁまぁだし。
ドアとの感じもまぁまぁだし」
あ。ドアの横にスイッチが付いた。
あれでしょ、いつもトイレの電気を消そうとして玄関の電気が消されちゃう、ってやつ。
「そうそう。室内の電灯スイッチの下にトイレのスイッチがあったんだけど
分けてもらったの。
今、玄関の電灯は除菌電灯になってるから消さないで欲しいんだよね。
こんな細かい変更も一緒にできちゃって、たすかるー」
うふふ、とママはほほ笑んでいる。
「あとはこれらを設置してもらっておしまい。
実質の工事日は1週間くらいなんだけど
大工さんとクロス屋さんと電気屋さんと水道屋さん、って
職人さんが分かれてるからそれぞれのスケジュールと合わせて
作業が進んで行くんだよね。
クロス屋さんの仕事が早くて、今日の午後はオフになってた。
最終日に水道屋さんが入って終了。
そして支払いが始まる」
ぐえぇぇとママは倒れこみ、やると決めたのは私なので、と
ゴロゴロ転がり始めた。