もう!君たちは買わないでいいの!
と、ママがPCを見ながら仰け反っている。
なにやってるの?
「小説を売り始めたのだよ。
でも友達ばかりが購入している。
恥ずかしいじゃないか、知り合いに読まれるのって」
小説を?
去年1次選考通ったやつ?
そうだよ、とママは応える。
「さらにそこから直しを1ヶ月やってたんだから。
もう自分で書いた奴何回も読むの嫌だ、ってくらい読んだ。
で、えぃ、って公開したんだけど
宣伝がへたくそで知り合い以外は見向きもしないんだな、という事がわかった。
やっぱりキャッチコピーとかプロモーションって大事なんだね。
手に取ってもらうまでが大変、ってことだ。
だからみんな賞が欲しいのかも。
賞を取った、ってブランドになるんだな」
次の作品に取り掛かる前に、そこを考えるとするか、
と言いながらママはゴロリと横になった。
やる気があるんだかないんだか。
次の話にぼくも登場させてよ、と言ったけど
もうママは寝息を立てていた。