「ねぇ、なーちゃん
幸せ?」
パパがぼくの顔を覗き込む。
ねぇ
ねぇ
ねぇ
コタツ布団でぼくの顔をぎゅぎゅう押してくる。
うん、もう。
それ、よくパパに聞かれるんだけど
幸せ、って何?
「え。
そりゃ、まぁ、楽しく生きてる?ってことかな。
嫌なこと、ないですか?」
ふむふむ。
楽しく生きてる、って
嫌なことがないってこと?
「うーん、嫌なことはあるけど
楽しく生きてることもあるし。
なーちゃん、なかなか難しい質問するようになったね」
パパは困ったぞ、という顔になった。
じゃぁ、パパの幸せは?
「なーちゃんが、幸せ~♪ って言ってくれること」
パパは、にー、っと口を横に引っ張った。
ふむ。
幸せそう。
それを見て、ぼくは嬉しいと思った。
そういうこと?
「そうみたい。オレも今わかった」
えへへ、ってパパは照れたように笑った。
ぼくが幸せだとパパも幸せで
パパが幸せだとぼくも幸せだと思う。
あ。
だからか。
ママはよく、なーちゃん元気でいてよ
って言うな。
それは、ぼくが元気でいると
ママは幸せだってこと?
「そうだね。
なーちゃんが居るから
オレとママちゃんは幸せなんだな」
そっかそっか、とパパは一人で納得する。