「なーちゃん、パパちんそろそろ来るよ」
ママがひそひそ声でぼくに教える。
階段から足音が聞こえた。
いつもぼくとママは早めに布団に入って
お喋りをしてるんだけど
パパは煙草を吸ってから上がってくる。
そしてやってくるといつもぼくにチョッカイをだす。
ぼくは身構えた。今日は負けないぞって。
「なーちゃーん、いますか~?」
パパがドアを開けた。
逃げるつもりはない。
ここにいるよ!とぼくは叫ぶ。
カーン
ゴングは鳴らされた。
とりゃ とりゃ
パパがぼくのおでこをチョンチョンする。
引っ込める手にぼくは飛び上がった。
「あ!なーちゃん、立つの反則!」
パパがぼくを制する。
そんな反則、聞いてないもん。
ぼくは構わず突進した。
急いでパパは手を引っ込める。
「なーちゃん、おそーい」
ぼくを挑発して鼻の前に手を下げた。
がぶ
ぎゃ
「はい、終了!もうここでやらないで向こうでやってよ!
あたしは寝ます!」
ママは電気を消した。