「そろそろいい季節になるから
安心安心」
ママはベッドでゴロゴロしながらご機嫌だ。
ぼくはなにが安心なのかわからない。
ママをじっと見つめる。
「ほら、お外の子達もブルブル震えない
季節になる、ってことよ。
寒いのかなーって思うと、
落ち着かないじゃない」
え?ママ、落ち着かなかったの?
ママが落ち着かないなんて
ぼくには信じられなかった。
いつでも、どん、と構えているように見えたからだ。
「やぁね。あたしだってそわそわします。
でも気候はあたしの範疇じゃない。
発泡スチロールでおうち作っても入らない。
彼らには彼らのルールがあるとしても
やきもきしますよ」
ぶー、と口を突き出してママは答えた。
しまちゃんのときには、堪えたよねー
って目を床に落とす。
「でも温かくなればさ、もしかして
しまちゃんもどっかで持ちこたえていて
ひょっこり現れるかな、って
思ったりもするじゃない。
ちょっと楽しみなのよね」
そうか。
季節が変わるって、いいね。
ぼくはママのいるベッドに飛び乗って
ママとお揃いでご機嫌な顔になった。