月末の予定がギュウギュウになってきたぞ、とママが眉をしかめている。
おや。予約がもう埋まっているの?
良かったじゃないか。
「いや、お店の方ではなく」
とママは首を振って、これの取材、と写真を見せる。
なにこれ。
横浜の、雑誌?
そう、とママは目を細めた。
「横浜、って雑誌かあって、4月号は元町をクローズアップするんだって。
で、河岸も取材を受けることになって
緑アップの話をすることになって
インタビューを受けることになりました」
会長がやればいいのに、とママは眉間に皺を寄せたけど
直ぐに目を大きく開く。
「インタビュアーが作家さんなんだよ。
私としては作家さんと実際に会って話ができるのは
ありがたい。
中々会えないからね。
ということで引き受けました」
えへへ、と照れている。
あーあ。
月末は総会も開くのに。
その準備もあるんでしょ?
なんでも引き受け過ぎだよ、とぼくは呆れた。
「断ってる話もあるもん。
さすがに今年はこれ以上引き受けられない。
緑アップに関連する所とお店だけで手いっぱいだよ。
総会用の規約と名簿はもう作れて会長の確認待ちで
あとは緑化計画書の精査だけ、ってところまできてますー、だ。
でも予算の精査は一人じゃ決められないから
設計担当者と相談だし」
相談の準備をしてるところだ、とママは胸を張る。
準備8割がママのモットーだと、ぼくは知っている。
断ってる話が出てくるくらい、今やっている事の準備は大変なんだな。
あーあ。何屋なの?
仕事しなよ。
してるわよ!
けっこうそっちも頑張ってます!
と言うとママはぼくの顔をワシャワシャした。