大物を忘れるぼくたち

「そぉいえば、白黒パンダちゃんも
 見なくなったわね」

ママは夕飯を食べ終わり、誰にともなく
呟いた。

ぼくもおかしいな、とは思っていた。
床が地面から突き上げられたあと
しまちゃんはボロボロになりながらも
ご飯を食べに来た。
白黒パンダちゃんは、そのずっと前から
見ていない。

「アライグマちゃんも見かけない。
 もしや。
 二人で戦って、相打ち?」

ママは、うーん、と唸っている。

もしかして
しまちゃんが床下に居るときに
白黒パンダちゃんとアライグマちゃんが
争いながら入ってきて
しまちゃんは巻き添えを食ったのかもしれない。

ぼくも、うーん、と唸る。

「例えばさ、石田三成と徳川家康が戦ったとき
 その他の人たちもいっぱいいて
 でも誰もそのことには触れないで
 大将の名前ばかり出て来るけど
 犠牲者は物凄い数いた、というのと
 似ているってことかしら」

なになに?ダレなのそれ。

ぼくの知らない名前で
ぼくの知らないところで
戦いがあった事に驚く。

「あたしの友達の話、ってわけじゃないよ。
 昔々の話。
 でも語り継がれるのってほんの一握りなんだな、って。
 その他大勢の人にもドラマはあっただろうに、って」

ママは眉尻を落とした。

「あたしはあたしの目から見た世界を
 語り継いでいこう」

うん、ってうなずいて。


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