「そんなに落ち込むなよ、なーちゃん」
パパがぼくの頭を撫でる。
だって。
ママ、ぜんぜん堪えてないんだもん。
ぼくは恨めし気にパパを見上げた。
「なーちゃんはまだまだだなぁ。
オレなんて、どんだけ捨てられちゃったと思ってるの?
まだキャットタワーは無事でしょ?」
パパは目を丸くする。
でもそれは、ほんとに要らないものでしょ?
「だから。
ママちゃんはホントに要るものは取っておいてくれる、って。
もしくは新しくてさらに良いものに変えてくるから。
そんなに心配しなくて大丈夫だって」
でもなーちゃんの動揺もオレにはわかるから
そして機嫌の直り方もオレにはわかるから
と言って、冷蔵庫を開けている。
ぼくはまだぐずぐずうずくまる。
ぼく、キャットタワー使うのに。
ん。
ん?
パパがお皿に盛っている
あの、赤いやつ。
あれは
もしや。
「じゃじゃーん。
マグロだよ~」
えー!
ほんと?!
ぼくは急いで飛び起きた。
きゃぁきゃぁ
うん。
いいかも。
新しくて良いものに変わるなら
それもありかも。
うんうん。
パパは、あはは、と笑って
それでいいんじゃない?
予算の都合もあるから、そう簡単には変えないよ
ってぼくの頭を撫でた。