ふえー、とママが脱力している。
いつもの事ではあるけれど
ホッとした顔をしているので一応聞いて上げる。
どうしたの?
「カバーを受け取り終わったのだよ。
アイアンのカバーを30個」
ママは目を閉じたまま答えた。
え!鉄のカバー?
それすごく重たいんじゃないの??
「重いよねー
男手4人と私で1丁目から5丁目まで散らばして。
いやぁ死ぬかと思った。
最後は力尽きて持ってきただけだけど
危険な場所には装着完了。
あとは道路工事終わるの待って
その間に細かい作業をちょこちょこ」
見てこれ、とスマホを差し出す。
おぉー。
「月曜から始まるはずの道路工事がまだ始まらない。
始まらないとこれ、置けないのよね」
とほほ、とママはこぼす。
でもなんか、ずいぶん変貌したんじゃないかとぼくは思うよ。
そう?そうなのよ、とママは
疲れも吹っ飛んだ、とぼくの頭を撫でた。