しまちゃんが走り去った後、
ぼくとパパとママはしばらくキョトンとして
し、しまちゃん、かわいい~
ってすっかりファンになった。
「ミミちゃんもしまちゃんも、
ちゃんと挨拶していくのね~。
お外で暮らしてる分、社会人経験が多い、って感じよね」
ママは感心しきりだった。
「でもお外にいるからって、大人ってわけじゃないよ。
ゴロツキみたいなのもいるし」
パパは顔を振る。
「そういう中で生きていくって大変じゃない。
なーちゃんはすっかり箱入り息子だし」
え?
ぼく?
「そうだよ~
お外に出たら、喧嘩もしなきゃ生きていけない。
なーちゃんはパパにしか唸ったことないもんね」
そうだよ、なーちゃん
オレにだけ、ひどい。
パパは悲しそうな顔をする。
「ミミちゃんは人に慣れてるから
どこに行っても可愛がられるだろうけど
しまちゃんは人が苦手みたいだね。
今は暑いから外でも、まぁ、大丈夫かな」
お店の外のひまわりもこんなだし
ってママはスマホを見せる。
わぁ。みんな咲いてる。
「もうちょっと慣れてきたら
冬はお家に入る?って聞いてみようか。
それにしても最近なんか色んなのが寄ってきて。
なんなんだろ」
さらにママはスマホを見せる。
「スズメなんだよ。
外でパン食べてたら
ちょっとちょうだい、ってやって来てさ」
「なんだか知らない間に大家族だ。
あたし、一人も産んでないのに。
でもいいよね、それも」
ママは、に、っと笑う。
パパは、あぁ~、たいへんたいへん、って喜んでる。
ぼくも、そうか、みんな家族か
って思ったら、なんか、楽しくなった。