「なに暗いところでしょんぼりしてるのよ」
ママが帰宅して、ぼくの事を探して
2階にやってきた。
しょんぼりなんてしてないもん。
けっこうキリっとしてるもん。
そう?
とママはぼくを覗き込む。
「ごめんね。毎年夏休みお留守番させて」
困ったような顔をして瞳をきょろっと動かす。
うううん。
ぼくは顔を横に振った。
大丈夫だよ。
それよりテスト、頑張ってね。
ははは
とママは空笑いして
「夏がじわじわ来てるよね~」
ってスマホを見せる。
「見てよ。ひまわりってこうやって咲くのね。
知っているようで、知らなかった。
やってみるもんね」
朝顔たちも、と言ってスッと指を横に動かす。
知ってる?庭のトマトもだよ。
「さっき見た。この時期はあっちこっち
変化が著しいよね。
あたしもなーちゃんも特に変化ないけど」
いや、ママは白髪が増えたでしょ。
なにー!
と言って、しばらく取っ組み合いは続いた。