「さて、夏を迎える準備だぞ。急がなければ。
あと残りの作業期間は4日だ」と言って
ママはいそいそ庭に出て行った。
まったくよくまぁ毎日やることがあるもんだ、って
呆れちゃうよ。寝てればいいのに。
ぼくはキャットタワーに登って
部屋の中からママの様子を見ている。
温かいし、日光浴か、なんて思いながら。
ママはスコップを持ち出して、ガツガツと、
小さな畑を掘り返している。
ぼくは毎回見てるからね。
この後あれだよ、土を復活する奴を混ぜるね。
あ、芝生の上にも撒きだした。
去年の夏、芝生が元気ない、ってぼやいてたもんね。
それにしても事前の準備ってずいぶん早くからやるんだね。
まだ4月だけど、8月を思い描くと今が大事なのか。
今、庭には花が咲いている。これは去年の秋に準備をしたらかなんだよなぁ。
カラカラと窓を開けてママが戻ってきた。
「これで今晩雨が降るでしょ~。バッチリバッチリ」
何がバッチリなんだろ、って思ったけど
ほんとに雨が降って
朝には止んで
ママは
「こうしてちょっとずつ進んで行く感じっていいよね」
って5時から散歩に出かけて行った。
ほら、洗われた感じになって清々しい、って
布団に潜っているぼくに、無理やりスマホを見せに来た。