「どうですか?新しいおうちは」
パパがぼくのお尻を撫でる。
先日、パパとママでせっせと組み立てた
ウッドデッキにパパはぼくを連れ出した。
「お天気も良いし、なーちゃんが気に入ってくれるといいな、と思って」
ぼくはお尻を触られるのが嫌いなんだけど
初めて触るウッドデッキにびくびくして
それどころじゃなかった。
土の匂いと温かい日差しを感じ、少しだけ顔をあげる。
外と中の境。
ここは、怖くない場所?
ってパパを見上げた。
「ここは、うち。まだ慣れないと思うけど、大丈夫。
オレも色々職場が変わったから
なーちゃんの気持ちはわかるよ。
見知らぬ場所って落ち着かないよね」
ぼくとパパは庭を見渡す。
「なーちゃんは、一人じゃないからね。
オレも新しい職場に行くたび、心細かったけど
帰ったらなーちゃんとママちゃんが居たから
頑張れたんだよ。
ほら、そこに植えた木だって、今は寂しそうだけど
その内元気に葉っぱ伸ばして、
いっぱい実をつけて、にぎやかになる。
だから、なーちゃんも、大丈夫大丈夫」
ぼくは、太陽のお陰か
土の匂いのお陰か
パパが撫でる手の温度のせいか
なんだかポカポカしてきて
ゆっくり目を閉じた。