青の世界

「行ってきたよ、なーちゃん」
と、ママは久しぶりに興奮した感じで、ぼくを抱き上げた。

ばぁちゃんが死んで3ヶ月くらい経った時だった。
ママがネットを見ながら
「これか」
と唸った。

それは、ばぁちゃんの大好きな花がたくさん植えられた公園で
その花は花束になるような豪華なものじゃなくて
行かなきゃ見れない花だった。

「よく言ってたのよね。その花畑に行きたいって。
 ガンになる前よ。
 でも花の名前もわからなかったし。
 まぁ、もう連れていけないし。
 他の検索をしてたところだったんだけど
 なんかこのページにたどり着いちゃって。

 あいつ、おねだりしてきたな」

そこは横浜からはちょっと遠くて
ぼくは一緒には行けないけど
パパ、ママ、行ってきてよ!って背中を押した。
1泊くらい、二人がいなくても大丈夫だからさ、って。

「こいつ。たくましくなりやがって」

と二人してぼくをわしゃわしゃ撫でまわした。

そして帰ってきた二人が見せてくれた写真を見て
ぼくも、わぁ、って声を漏らす。

どこまでも青い。

ブルーの花で埋め尽くされた丘は空へと続き
その先には海も見える。

「おねだりされたのかと思ってたけど
 ご褒美だったみたい。
 ばぁちゃんが行った先、をちょっと見せてくれたのかな。
 天国ってああいう感じなのかも」

ばぁちゃん、元気みたいね
と言うとママは、あはは、って声に出して笑った。

そうか。ばぁちゃん元気にやってるのか。
ぼくは安心して、ゆっくり目を閉じた。


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