取り合えず、良かったね

「やりましたよ。
 一進一退とは思うけど
 今は一進だ」

上の方からママの声がする。
ぼくは眠くて聞こえないふりをした。

「ちょっと、なーちゃん
 聞いてる?」

コタツ毛布に顔をうずめるぼくの頭を
ママはゴシゴシと撫でた。

「膝の手術をしようとしてる人の
 調子が良くなったの。
 昨日歌舞伎座まで出かけてたんだけど
 タクシーでドアツードアで
 行って帰って来れた訳よ。
 贅沢でタクシー使ってるんじゃないのよ。
 電車で行くのはもう無理だ、という判断で。
 で、正解、よ。
 膝周りの硬直も取れたし
 無理もしなかったし
 義理も果たせたし
 決して無駄なお金じゃなかった。
 良い使い方ってこういうことを言うのね。
 今日診に行ってきて、悪い状態じゃなかったの。
 少し間隔開けても大丈夫。
 この調子で行けば
 来月の整形の診察で
 まだ手術しません、って言えるかも」

ふぅん。
だからママは今日帰りが遅かったのか。
パパがせっせと夕飯を作っている。
パパはお休みだったから張り切っていて
昼間からうるさくて
だからぼくは寝不足だった。

おいこら、聞いてるのか
とママはぼくの耳をつまむ。

聞こえてるよ。

ママは、お祝いだ!と言ってビールのプルタブを開ける。
カンパーイ
と言うと
おい、聞いてるのか!と
ぼくの耳を引っ張った。


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