「取り合えず、で動かすには重たすぎる物を
山ほど貰って後悔したんだけど
男の人の力はすごいもんだな、と改めて思いました」
とママはしみじみ言った。
ママが思う重たい物と言えば、あれだな。
表の商店街から貰ったプランターだ。
それは鋳物でできている。
中身も入って多分100kg。
平らなとこをでは引きずれても
持ち上げることはできない。
いつも部屋の模様替えで
タンスやベッドを動かすママでも
さすがに1人で移動はできないやつ。
応援を頼んだの?
「そう。ものすごい応援を」
と言うと、ママはニッと笑って写真を見せた。
おぉ~
すごい。
運べてる。
「そうなの。道場の先生。
Tシャツの上からでも筋力がわかるよね。
前回は貯水タンクが6個用意できるバージョンで
並べてみたんだけど、結局1個しか置けないことになったから
プランターも集めて置かなきゃいけなくて。
二度手間を指せてしまった」
これ一回目、と写真をめくる。
ひっくり返して置いてある。
空のプランターをそのまま置いておくと
ゴミを入れられちゃうからだ。
これ二回目、とさらに写真をめくる。
「息子も連れて来てくれて。
もう6年生にもなると、充分男手だった。
ずっと河岸のイベントとか手伝いに出て来てくれる子なんだよ。
早くも5年の付き合いになる」
ママはまたしみじみと言った。
ママが応援をお願いするメンバーは
ずいぶん広い。
1人に集中しないようにするための作戦か。
「みんなの通りだからね。
ちょっとづつ関わると自分の通りになると思うんだ。
なるべく簡潔に作業内容を決めないといけないんだけど。
2度手間をさせないように気を付けなくちゃ」
さーて、まだまだ
準備の準備の準備の段階だ、
ここからどうするかなぁ、
と相変わらず布団に倒れこんだ。