しまちゃんの来なくなった庭は
すっかり色を無くした。
全身で、寂しいね、って言っているみたい。
曇りの日が続いているから
余計にそう感じるのかもしれない。
ママはよく
「寂しいとは思うけど
悲しくはないのよ」
って言う。
ぼくはこの二つを同じ意味かと思っていたけど
その違いがちょっとづつ、わかってきた。
しまちゃんが来なくなって、寂しいなって思うよ。
でも悲しくはない。
「しまちゃんは、自己憐憫がまったくなかったじゃない。
かわいそうな自分、って全く思ってなかった。
そんなしまちゃんを憐れむなんて
こっちの思い上がりだから」
ママはしまちゃんと同じ目をして
キリっと前を向く。
そうだね。
ぼろぼろだったしまちゃんに
勇気づけられてる。
かっこいいな。
ぼくもきりっとした顔をしてみた。
冬は物悲しい空気になるけど
受け取る側の気持ちで変わる。
この乾いた冷たい風も
芯を硬く鍛えてくれている気がした。