「あら?ご飯を食べ終わったのに次のお家に行かないぞ」
ママが窓の外を見て喋っている。
ぼくもキャットタワーに乗って庭を見た。
あれ?ホントだ。
ジャックは食べ終わるとすぐに次のお家に向かう。
あちこち満遍なく顔を出すのがノラの常識、って言ってたのに。
「禿げた所も治ってきたし
やっぱり免疫が強いなぁ。
ちょっとやそっとの皮膚病も
薬も付けづに自分で治っちゃう。
うちのご飯のお陰だな」
うむうむ、とママは頷いた。
そんな言葉が聞こえたかどうかはわからないけれど
ジャックはくつろぎ始めた。
元気になったのか、元から元気だったのか。
別に皮膚病も大したことなかったのか。
ぼくが心配し過ぎただけなのか。
「元気って、元の気って書くじゃない。
元に戻ったってことよ。
色んな事が起きるお外の世界で
色んな状態になっても
元の自分に戻れるって大事よね。
えらいそ、ジャック」
とママは拍手を送っている。
ちょっと戻り過ぎな気もするけど。
ぼくは大人しいジャックも好きだったけどね。