こんにちは、シタちゃん。
ぼくは雨の庭を見ていた。
しっとりと濡れた世界は
春が来る前の給水のようで
ぼくは、ちょっと好き。
枯れたように見える木々たちも
いやいや、死んでいるんじゃないんですよ
休んでいるだけですよ
と訴えているように思う。
そこにひょっこりとシタちゃんが現れた。
雨が降っていようが
ぼくが居ようが
まるで気にしていない。
黙々と湿気たカリカリを食べている。
あの、雨の日はクチャクチャご飯が、いいよね
カリカリ、柔らかくなってるでしょ?
ってぼくは声をかけた。
シタちゃんは相変わらず舌を出していて
特に何も言わない。
ちらりとぼくを見て
また黙々と食べている。
ぼくたちの間には雨の音しか
無かったけど
どちらも動こうとせず
静かな春雨に耳を澄ました。