そしてまたママは水槽を洗っている。
「おかしいなぁ。
水槽の管理はパパちんの仕事のはずなのに」
ぶつぶつと何か聞こえるけど、それでも手は動いている。
ぼくも毎日トイレを片付けてもらっているから
何とも言えないけど。
よくやるよね。
「パパちんは水槽の水が濁っていても
大丈夫大丈夫、ってさぁ。
死ななきゃ大丈夫、ってレベルなんだよなぁ」
あの人、ほんとに板前?
って、目玉をギロリと天井に向ける。
おっと。
怖い怖い。
ぼくにも何か飛んできそうで
そろそろ二階に行こうかな、って思う。
まぁ、言わせてあげとけば治まるからなぁ。
って、これはパパから学んだママとの付き合い方。
怒ってるときは近寄っちゃだめだよ、って。
それが良いみたい。
ぼくはこっそりリビングを離れた。