ねぇねぇ、ママ。
ぼくは布団に入るママに声をかけた。
ママは、なーちゃんが先に入っててくれないから
お布団が冷たい、と文句を言っているところだった。
今年は大丈夫?
ママはキョトンと、なにが?と聞き返した。
ほら、去年の今頃、パパが持って帰ってきたじゃん。
インフルエンザ。
きゃー
と言いながらママは両耳を手で押さえる。
「ほんと、去年は年明けから大惨事だったからね」
でもお陰でずいぶん本が読めたんだけど、って瞳を動かす。
ぼく、お正月が終わっても二人がずっと家に居て
結構疲れたんだけど。
今年はそんなことない?
「まあ。酷い言い草ね。
あたしたちがうちに居ると、嫌なの?」
ママはぼくを睨む。
そうじゃないけど。
ぼくにもぼくのペースがあるからさ。
昼間のお布団はぼくだけの物なのに、と恨み節を垂れる。
「はっはっは。
今回は早くからクレペリンを置いているのだ。
安心したまえ」
ママは高らかに笑った。
まぁ、パパちんしだいだけどね、と目を細めているけど。