窓の外に黒い影が映る。
ミミちゃんかな?
ママも気が付いて、窓をカラカラと開けた。
あれ?
真っ黒。
ミミちゃんじゃなかった。
あ!
シタちゃん!
相変わらずシタちゃんは舌が出ている。
そのせいなのか、いつも何もしゃべらない。
驚いて逃げ出すこともなく
シタちゃんはママとぼくをじっと見ていた。
「どうぞ。
食べなよ。
久しぶりじゃない」
ママは困ったような顔をして、ほほ笑む。
しまちゃんかな、ってちょっと思っちゃって。
いやいや、色が全然違う事はわかっているんだけど。
シタちゃんでがっかりした、とか
そういう事じゃないんだけど
って謝っている。
ぼくもちょっとその気持ち、わかる。
ごめんね、シタちゃん。
シタちゃんは舌を出したままの顔で
ぼくらを見上げていた。