三人で釣りに

それ!ごー!
と、ママはこぶしを突き上げた。

1時間ほど前、またパパがママに電話をかけた。
ぼくは、ママ、仕事中でしょ?とパパに言ったんだけど。

たいへんだ~
お義母さん釣りに行くって~
釣りに行きたいって~

午前中、ぼくとパパとばぁちゃんは
パパが録画した釣り番組を見ていた。
パパは、なーちゃん、あれ、美味しいんだよ
いつかオレが釣ってきてあげるからね
と、ぼくの頭を撫でた。

そのとき、ばぁちゃんが
いいわね。釣り、行ってみたいな~
とつぶやいた。

パパの目はきらりと光り、携帯を持ってキッチンにダッシュして、
で、
ママが帰ってきた。

もちろんぼくはお留守番だけど
その日の夕飯はお刺身で、ぼくとしても大満足だった。
ばぁちゃんも、
楽しかった~、と
ニコニコしながら布団に入った。

ママがキッチンにいたので、ぼくはテーブルに上がりママに話しかけた。
よかったね、ばぁちゃん、楽しそうだったよ、って。

ママは椅子に座ると
「ガンだ、ってわかって、病院以外で初めてのお出かけだったからね。
 自分から、遊びたいな、って思うのは大事なことだと思うんだよね。
 お膳立てして無理やり連れて行っても、意味がないし。
 体力落ちてるんだから、辛いじゃない。
 ばぁちゃんね、病院に出かけるときと雲泥の差だったのよ。
 病院嫌いな人だしね。行くだけで具合が悪くなっちゃうし。
 護岸でさ、早くは歩けないけど、自分で歩いてベンチまで行ってさ。
 フェンスまで来て、魚泳いでるの見たり
 水平線見たり、潮風に当たったり
 ほら、糸引いてる、って指示出したり
 あたしもパパも楽しかったんだよ、ばぁちゃんが一緒に遊んでくれて。
 今度はなーちゃんも一緒にどう?」
って今日の出来事を話してくれた。

ぼくも行きたいけど、待ってるよ。
お帰り、って言う人も必要だしね、ってママにウィンクする。

こいつ、大人になりやがって
と、ママはぼくの額を突っついた。


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