しまちゃん、いいの?食べちゃうよ。
うん。
小さな会話が窓の外から聞こえる。
しまちゃんはウッドデッキで丸くなり、目を閉じていた。
ミミちゃんはチラチラ振り返りながら
ご飯を食べている。
ぼくも窓からそっと近寄る。
外には出ない距離で。
ミミちゃんと目が合うけど
お互い何も言葉を発しない。
風が庭の木々を揺らし、音をたてた。
息が詰まるような、とまではいかないけど
何もできない歯がゆさは
ばぁちゃんが死ぬ前の日々と似ている。
静かな時が流れる。
風が治まると、しまちゃんの
控えめな寝息だけが聞こえた。