「取り合えず、一安心かな」
ママが水槽を覗き込んでいる。
ぼくはいつもの席から様子を眺めている。
お茶を持ったママが近づいてきて
「なーちゃんも、ほっとした?」
ってぼくの頭を撫でた。
うん。
なにもできなかったけど。
「なにかできることなんて
実はなにもないのよ。
あたしだって、なにをしたかわからない。
でっかちゃんの生命力、なんだよね。
まだ、生きたいと思ってくれたんじゃないかな」
まぁ、死にたいと思って死ねるもんでもないけど。
ママはそのままソファに向かい、
なーちゃんもこっち来ない?って
ぼくを誘った。
いいよ。たまにはソファでお茶会?
「でっかちゃんも落ち着いたし
なーちゃんも元気だし
パパちんも元気だし
私は旅に出ようと思います」
へ?
なにそれ。
5日ばかり留守にしますので
頑張ってくれたまえ
とママは言うと
美味しそうにお茶をすすった。