「来たぞ」と言ってママは段ボールから何かを取り出している。
それは大きな花のボールだった。
すごいね。モリモリ。
「ほんと。
これが出来上がり最終形態。
夏にこうなってると見ごたえあるよね」
ママは1,2,3,4、と花の株を数えている。
「上に3つ、5本のスリットに1つと2つが交互。
小さいアイビーが2つで全部で12か。
15苗いるかと思ってたけどそうでもないな。
でもけっこうコツがいる植え方。
やぱり最初はパンジーからだな」
ふむふむとママは頷いた。
先週ママが植えたハンギングバスケットのパンジーは
ちょっと改良されて12苗にアイビー1苗になっている。
これが改良後。
これが改良前。
1週間でちょっと成長した感じもする。
「植えたてはどうしても貧相なんだけど
春に向けて大きくなるからね。
まずはパンジーで体感してからのペチュニアだな。
でも花が薄いから雨に野ざらしを耐えられるかが問題」
うーん、と唸って、でもやるか、と手を打っている。
送られてきたペチュニアのハンギングバスケットは
ここ数日雨が続くからと
軒先に置かれている。
「スタンディングバスケットはプランターに埋め込んじゃうから
雨が降っても移動できないのよ。
店頭に飾るバスケットは大丈夫だと思うんだけど」
ママは再来年の計画をブツブツと呟いているけど
ねぇ、寒くないの?とぼくは聞いた。
そんな先の事より今日の寒さの事を考えて欲しいよ。
こたつこたつ、と訴えてみたけど
ママは庭ばかり見ている。
もう。
ぼくお布団に帰ります。