2人して遅く帰ってきたと思ったら
速攻寝る準備をしている。
もう。ぼくのこと忘れてない?
「ごめんごめん。
パパちん、和食で1番偉い人になったんだって。
急遽お祝いでご飯食べて来ちゃったの」
そんなわけで、食べ過ぎて死にそうです、とママは悶えている。
和食の1番偉い人?
なにそれ。
「メニューを決めたりするみたい。
だから最近楽しそうよね。
自分で献立決めれるって、作り甲斐あるし。
今日正式に辞令が出たんだよ。
私もビックリだったんだけど。
そろそろ責任のあるところをやらなきゃいけない年頃だしね。
総料理長まで行くと大変だろうけど」
ふうん。
だからか。
最近パパはママに相談してる事が増えた。
料理を盛り付けた写真が送られてきて、
ママが、可愛くない、ピンクが足りない、とか言って。
パパは忙しいのが嫌いかと思っていたけど
案外楽しそうで、それは充実してるって言うんだよ、って
ママが教えてくれた。
今日の食事もパパにとっては勉強だったみたい。
ベッドに横になって、撮ってきた写真を見ている。
充実って、なんかいいね。
じゃ、ぼくも一緒に寝るよ。
さっきまで寝てたんだけど。
ぼくにとっての充実は、2人と寝る事だからね。