「えぇ!ママちゃん、そんなことしてたの?!」
パパは素っ頓狂な声をあげる。
パパ、しっ。
ママに聞こえちゃう。
ママは今お風呂に入っている。
その間に、ぼくとパパで内緒話。
そういえば、ママちゃん、ちょっと痩せた気がする。
ずるい!
でも、オレ、食べないで痩せるの嫌だ。
パパはブツブツと口を尖らせている。
ぼくだってお腹空いたなぁ、って思うの嫌だもの。
パパの気持ちはわかる。
「オレはね、痩せたいとは思わないんだよ。
ひ弱そうに見えるじゃない。
太ってて何がいけないのさ」
ねぇ、なーちゃんだってぽっちゃりしてて可愛いよ
とささやく。
もう。
ママは痩せようと思ってやったわけじゃないんだよ。
「でも食べないなんて嫌だ。
死ぬ直前まで食べて
お腹いっぱい、って言って死にたい」
パパはブンブンと頭を振った。
ふむ。
それがパパの望みなら、きっとママはやってくれるんだろうな。
さて、ぼくはそれを見届けられるだろうか。