トラさんとジャック

ふざけんな、このくそじじぃ!
年寄りだからって容赦しねーぞ!

なにを言いがかりな!
この若造が!

パパを見送って、ママがベットに戻って
ちょっとした時だった。
つまりは朝の6時前。

うちの庭で怒鳴り声が聞こえる。

ママは飛び起きて階段を駆け下りた。
ぼくも一緒に、布団から飛び出す。

ウッドデッキに上がっているジャックは
唸り声をあげてトラさんを威嚇していた。

トラさんも負けていない。
キュウリの苗の向こうからジャックを睨み上げている。

「ちょっと!二人とも!
 今何時だと思ってるのよ!」

ママが二人の間に割って入った。

「ジャックはご飯山盛りあげてるでしょ?
 なんでトラさんに絡んでるの?
 トラさんも!
 ジャックに突っかからないで!」

ママは腰に手を当てて二人を見下ろした。

トラさんは申し訳なさそうに眉尻を下げ、
わ、わしは、そんなつもりなかったんじゃ
この若造が急に怒り出して
と目をそらせる。

ふざけんな!じじぃ!
俺の飯、食ったじゃねーか!
俺が昨日来たらもう誰かが食った後だったんだぞ!
だからこうして今日、早くから待ち伏せしてんだ!
そしたらお前が現れた。
お前が犯人だろうが!

ジャックはまだ怒りが収まらない。

いや、あの、
犯人はミミちゃんだ、と言いたかったけど
それも言えないし、
グルグルとママの足元を回る。

「もう!
 わかったから。
 いまご飯出すから待ってなさいよ。
 無くなったご飯について、揉めててもしかたないでしょ?
 二人とも離れて。
 また喧嘩するならもう二度とあげないからね!」

ママの最後の一言に、二人とも恐れをなして
大人しくなる。

俺だってよ、お腹いっぱいなら譲らねぇなんて言ってねーんだ
とジャックはつぶやき
わしだって、若いもんの食事をくすねるような真似はせん
とトラさんも呟いた。


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