ぼくはお庭を眺めているトラちゃんを見ていた。
いつまでもジッと何かを見つめている。
トラちゃんの目には何が写っているんだろう。
毛はぼさぼさであちこち剥げていたり
肩甲骨が浮き出ていて
歳を取ったなぁ、って空気満載だけど
それでも、格好よく見える。
トラちゃんはぼくの気配に気が付いたのか
顔をこちらに向けた。
おぉ。なーちゃんや。
ぼくは口角が上がった。
今日はトラさんだ。
おはよう。今日は涼しいね、と話しかける。
あぁ、そうだな、とトラさんもほほ笑む。
歳を取ると今日みたいな日は天国に感じるもんだ。
まぁ、生きていて天国を感じられるなら
歳を取るのも悪くない。
トラさんのときもトラちゃんのときも
ぼくはどちらも好き、って思った。
それは本質は変わらない、という事で
根っこがカッコイイからな、って思った。