なーちゃん
なーちゃんや
窓の外で声がする。
ん?
トラさんかな?
ぼくは籠の中でウトウトしていたところを起こされた。
なんだろう。
ジャックだけじゃなく
トラさんまで。
窓に近づくとやっぱりトラさんの陰だった。
どうしたの、トラさん。
あの、なんじゃ、その
ママさんはわしのことを嫌ってはおらんかの
トラさんはモジモジとぼくに尋ねた。
え?
トラさんもそんなこと思ってたの?
ぼくは驚いてトラさんを見つめる。
ほら、あれじゃ、
ジャックと会うとつい口げんかになってしもうて。
ママさんが困った顔をしておったからの。
ぼくは、可笑しくなった。
ジャックも気にしてたよ。
なんだ、案外気が合うんじゃない?
ママはトラさんを嫌ってはないし
ご飯もちゃんとくれるでしょ?
トラさんは、うん、とうなずいた。
でもね、困ってはいたよ。
声が大きすぎる、って。
トラさんは黙ってうなだれた。
そうじゃな、わしもわかってはいるんじゃ
ジャックが大声を出すから、つい。
ぼくは、失礼かなとは思ったんだけど
声を出して笑ってしまった。