ママのお店のある通りにハンギングバスケットが並んでいるんだけど
それはみんなで作ったものなんだけど
ある朝、花が引っこ抜かれて放り投げられていた。
そんな話を聞いて
ママはブチ切れたんじゃないかと
ぼくは心配になったんだけど
ケロリとして言ったんだ。
「テロには屈しない」
なにそれ。
「ビックリはしたけど動揺はしなかった。
サッサと元に戻して
被害に遭ったお店を励まして
SS会にも注意喚起して
以上おしまい。
夜間は店内に下げる、なんてしない。
ビオラは外で育てるものだから」
キリっとママは言った。
「やった側も、酔っていたのかもしれないし
悪戯かもしれないし
むしゃくしゃしてたのかもしれない。
罪を憎んで人を恨まず、
それがこっちの精神状態も正常に保つコツだな。
長年花壇の手入れをしてて自然と身に付いたんだよ。
誰がやったんだろ、とか思っててもしょうがないの。
災難なんていつでも来る、って思ってるから」
そうなの?
と聞くと
そうだよ、いつでも来い!って笑ってた。