あれ?
なんか動いた。
と言ってパパは窓に近づいた。
今日のパパはお休みで
いつものように録画しためた午後のロードショーを
朝から見ている時だった。
パパ、ママが掃除機かけておいて、って言ってたよ
と伝えても
これ見終わってから~
と動かなかったのに。
ん。あの場所は。
ジャックだな。
ぼくもテーブルの下で、ひょい、と顔を上げる。
ぼくも午後のロードショー見てたんだよね。
ほら、やっぱり。
ジャックは中の様子をうかがっていた。
ジャックもテレビ、見たいのかな。
「あー。ジャックかぁ。
なんでそんなところに乗ってるの?
ご飯は?」
パパはジャックに話しかけた。
パパさん、どうも。
いや、オレは別に
セガールがやられちゃうんじゃないかと
心配になってよぉ
ジャックがもじもじと答える。
あ、やっぱり。見てたんだ。
ちょうどテレビ画面はスティーブン・セガールが
悪役に殴られたところだった。
「あ、見てたの?
じゃ、カーテン開けてあげるね」
サンキュー、パパさん。
話の分かる男だねぇ
とジャックもご機嫌だ。
ぼくは、中に入って見ればいいのに
と思ったけど
そこはジャックの流儀かもしれない。
ぼくたちはその後、
セガールが悪人をバッタバッタと倒すところを
キャーキャー言って鑑賞した。