「あら、なーちゃん」
ママがぼくの尻尾を見つめている。
なぁに?
ぼくはコタツ布団の上で丸くなっているところだった。
「尻尾、禿げてるけど」
つんつん、と触ってくる。
あぁ。
よく噛んでるからかな。
「え。なんで。痒いの?」
ママは尻尾をつかんだ。
やめてよ。
ぼく、しっぽ触られるの嫌いなんだよ。
パパはよくぼくの尻尾をつかむ。
やめて、って言っても毎日掴む。
もう、尻尾なんかなくなればいいのに、って
ぼくはかじる。
「それは、もしや
ストレスからなのか?」
ママは、えぇぇぇ、と目を丸くしている。
ストレス?
なにそれ。
「なーちゃんは毎日好きにしてるから
ストレスなんてないかな、と思っていたけど
生きてる限りそんなことないよね。
あたしにだってあるもの。
好きな仕事して
好きな人と暮らして
それでもあるからなぁ。
なーちゃんだってパパちんが嫌いではないし。
ちょっとしつこいんだよね。
発散方法を一緒に考えようか」
ね、とママはぼくを覗き込んだ。