最近ママが家に居ることが増えた。
そうするとガサガサゴソゴソ始まるんだよね。
「お休みが増えて売り上げが落ちないんだぞ。
どれだけ今まで遊んでたかがわかるね。
お店に行ってるときは今、何もできないもん。
花壇も工事終わるまでさわれないから丁度良いんだけど。
不要不急は出歩かないし、ならばお家の片付けだ」
ってゴミ袋を持って、ガサガサゴソゴソやっている。
先日は8時から出張だと言って、7時ごろ出て行ったし。
まったくママの仕事ってよくわからないよ。
どれ、様子を見に行くか、
とぼくは階段を上がって格闘中のママを覗きに行った。
ぎょぎょ。
凄いゴミだね。
「こうやってまとめちゃうと
急にゴミって感じになるよね。
急いで捨てる必要もない物たちだったんだけど
こういう機会がないとやらないからさ。
思い出は全部頭の中に入れて
アルバムも雑貨も一掃しました。
コロナ断捨離です」
おほほ、と笑いながらママは
何往復もして収集所まで運んでいる。
ゴミの山を遠目に見ながら、ぼくはふと思った。
要る物と、要らない物。
ママにとって本当に要るものって、そんなにないのかもしれない。