あまり話には出て来てないんだけど
1年半前にクロちゃんはやってきた。
またパパがさくら祭りの金魚すくいで連れて来たんだけど。
「パパちゃん水槽掃除もしないし
すくってくるだけで面倒見ないんだから
もう金魚すくいしないで欲しい」
ってママはぶぅぶぅ言ってた。
それでも連れて帰ってくればママがせっせと世話をやく。
そしてここ数年の恒例の出来事のように
夏の終わりに具合が悪くなった。
浮かんでいる時間が多いんだよ。
調子が悪い時は沈んで大人しくしているのに
浮かびっぱなしで沈めない。
「ほんとにさ、金魚は具合が悪そうでも
背中も摩ってあげられないんだよ。
見守るしかできない」
ママはきつく目を閉じ、せめてもと水槽の水を入れ替える。
鯉ちゃんは便秘でお腹がふくれたり
デッカチャンは尻尾が取れたりしたけど
クロちゃんはまたスイスイ泳ぎだしそうなほど見た目に変化がない。
ゆっくりと身体が傾いて
水流に乗って流されていく。
「こんな穏やかな最後もあるんだ。
あたしたちは息が止まるまでただただ見守るだけだよ」
ママは、行ってきます、あたしが帰るまで待ってるとか
しないでいいからね、眠るように逝きな
と言って、少し微笑んで、仕事に向かった。
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