「間違いないね」
ママがスマホで撮った写真をパパに見せている。
パパは
うーん、そうかな~
と首をかしげた。
「ぜったい、そうだって。
そっくりじゃん。色以外は」
パパは
うーん、そうかな~
と首を反対側にかしげた。
ママは、わたぼこりの子だ、って言い張ってる。
わたぼこり、とは、ぼくがママに拾われたころ
ママの部屋の下で子供を産んだ若い猫の事で
その猫は妊娠する前、ワタボコリの様に見えたんだ、ってママは言う。
「いや、汚い子猫だったんだって。
ほんと。
ママが鰹節あげて
パパがマグロあげて
で、パパになつくわよね。あんにゃろ」
ママは右手をグーにして、パパの肩をパンチする。
パパは、ははは、オレの勝ち~、って笑ってから
「まぁ、年頃はなーちゃんくらいだから、そうかもね。
よくまぁ、外で今まで生きてたなぁ」
なんで二人でタライに入ってるんだろね
仲良しだね
もしかしてたら、ここになーちゃんいたのかね
でも、なーちゃんおデブだからギュウギュウになっちゃうね
二人でひそひそ話している。
聞こえてるから。
でも、ぼくはここにいる。
そして、彼らも元気そうで、ほっとする。