けむく、じゃら、蔵
けむく、じゃら、蔵
ん?
誰かがぼくを呼んでいる。
けむく、じゃら、
蔵、
でっかちゃん!?
ぼくは急いでキッチンに向かう。
シンクに飛び上がると、そこには
ボロボロになったでっかちゃんが居た。
でっかっちゃん!
治ったんじゃなかったの??
ぼくは激しく動揺した。
すっかり良くなったと思っていたでっかちゃんは
ニワトリちゃんや鯉ちゃんと一緒の水槽に移されていて
三匹で元気に暮らしていると思っていた。
そう、だからあまり最近気にしていなかったんだ。
ママは?!
ママは知っているの?
ぼくはママからも特別何も聞いていない。
ぷくぷくぷくぷく
ママは、うす、うす、気が付いて、いるよ
でも、もう、体力の、限界、みたいだ
ぷくぷくぷくぷく
そんな!
また、薬湯に入ったりすれば、
また、治るんじゃないの?!
ぼくはオロオロして、シンクの上を行ったり来たりする。
はは、は
じゅう、ぶん、さ
もち、なおした、だけ、きせき、だった、んだ
でっかちゃんの身体が、斜めに傾く。
でっかちゃん!!
だい、じょう、ぶ
パパと、ママが、かえって、くるまで
ぷくぷくぷくぷく
ばくは、ただ黙って
ただ黙って、水槽の傍にたたずんだ。