「一辺にはひっくり返らないから、徐々にいくぞ」
ママは、作戦その1だ、と言って
ぼくにネックウォーマーをかけた。
そして、澄ました顔をしてテレビを観ている。
なんだろう。
これでどうなるんだろう。
観ていたテレビ番組がCMに入った。
「あー!
なーちゃん何かかかってる!」
パパが唸り声をあげた。
パパはいつもCMに入った途端、ぼくの尻尾を掴む。
パパはマゴマゴして
これ、どけたらママちゃん怒るのかな、と言って
手を出したり引っ込めたりしている。
「怒りますね。何故どけたいのか、理由にも寄りますが」
ママはパパを見返した。
「えぇと、なーちゃんの尻尾をイジイジしたいんですが」
「なーちゃんは尻尾を触られるのが嫌だそうです」
「またまた」
「ストレスで尻尾が剥げてきました」
「またまた」
「これからCMの度にパパちゃんのぽっぺたをゴシゴシすることにします」
「いいよ、別に」
「毎回です。毎日です」
「・・・」
パパはシュンとなった。