ねぇママ。
鯉ちゃんは大丈夫なの?
二階に上がって寝る準備を始めたママにぼくは聞いた。
「大丈夫じゃないよ。
どちらかというと、明日の朝まで頑張れるかな、と思っているくらい」
ママはため息をつく。
そんなに悪いの?
具合が悪いのか、罪が重いのか、ぼくにはわからない。
「だって、食べた物が身体から出ないんだよ。
はち切れんばかりになっても食べるのを止めない。
それも白ちゃんと黒ちゃんの分を奪ってまで食べちゃう。
いつからそんな風になったのか、わからないの。
鯉ちゃんもわからないんじゃないかな。
でも何事も、自分から、このままではまずい、って
気が付いてストップをかけないといけないと思うのよ。
気が付かない、ストップがかけられないのなら
止めることはできない」
ママは寂しそうにうなだれた。
ぼくも食べ過ぎている気がする。
明日の朝ご飯、食べるの止めようかな。
「なーちゃんは、いつもご飯残すじゃない。
それはお腹いっぱい、って言うところで止まっている証拠だから
大丈夫よ」
ママはぼくのおでこを突っつく。
そぉ?じゃ安心して食べていい?
「つねにほどほど、ってしときなよ。
鯉ちゃんの次はパパちんだね。
あの人もお腹はち切れるよ」
ママは口をへの字に曲げて
医療保険、入っておこうかしら、と呟いた。