きゃぴきゃぴしながら二人が帰ってきた。
「中々良かったのよ。
貸し切りだし。
すごいよね。
今年そんな事ばっかり。
さすがアニバーサリーイヤー」
ママが、うふふ、と布団に入ってくる。
結婚記念日だと言って
フランス料理を食べて来たらしい。
「でもそんなにかしこまってなくて
座敷だったし。
一つだけの個室だよ。
あれは珍しいスタイルだ。
量も丁度いいし」
ママは沢山は食べられないし
パパは15時ごろ間食するし
いつも夕飯の量で悩んでいることを
ぼくは知っている。
ふんふん。
ストロベリーの匂いがするなぁ。
「そうなのよ。
最後にアニバーサリープレートを頂いて。
やっぱり春は苺が食べたい」
この時期に結婚して正解だ
とママはうなずく。
そんなこと言って。
もうじき二人は誕生日も来るじゃないか。
苺ばっかり食べてるよ。
「そうなのよ!
記念日が重ならないように
記念日を組めばよかった!」
ママは、あぁーん、と言って丸くなる。
「なーちゃんの誕生日は夏で良かったなぁ。
お誕生日はどこに行きたい?」
えぇ?ぼく?
ぼくは家に居たいので
えんりょしまーす。