ぼくには移らないらしい

「ママちゃん、具合悪い」

ぴろん、と言う音と共にママのスマホに
パパから連絡が入る。

「上の人に言って、病院寄って帰って来なよ」

ママが返信する。

「半休とって病院行ってこいって言われた」

すぐにパパから返信が来る。

今日はママはお休みで、一通り家事を終え
ぼくとゆっくりお茶をしているところだった。

「あぁ、私の少ないお休みが、終わってしまう」

ママはガックリと肩を落として、
さて、夕飯の準備か、とつぶやく。

しばらくしてまたパパから連絡が入ると
「なにー!?インフルエンザだと!?」
と叫んだ。

インフルエンザ?
何それ。

ママは急いで検索を始める。

「ふむふむ。
 なーちゃんには移らないらしい。
 でも困ったぞ。
 パパちんには人に移してはいけない、という概念はないからな。
 あまりに露骨に隔離するのもなんだし
 寝室も一緒だし
 あたし、移らずにいれるか?」

ひー、と目を閉じる。

そうだ、ばぁちゃんが残していったマスクがあった。
最低限、それだけはしよう。

ってママは二階にダッシュする。

ばぁちゃんが使う用に、と言うか
パチンコに行くときの装備として
使い捨てのウェットマスクを沢山買ってあった。
全部使い切らなかったんだけど
ママは捨てるのを躊躇して、引っ越しするときも
捨てずにとってあった。

「まさか、これを使う日が来るとは」

玄関でマスクを構えてパパの帰りを待ち構える。

ぼくもしたいな、マスク。

「うそうそ。したくないでしょ?」

ばれました?
苦しそうだもんね。

案の定、パパはマスクをしたりしなかったりで
隔離される気もなく、リビングに居座り、
オレ、5連休~ってコタツに埋まった。
ご飯を食べてはマスクを付けるのを忘れ、
タバコを吸ってはマスクを付けるのを忘れ、
結果として、ママにインフルエンザが移った。


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